ここに設置作業の状況を紹介しますが、ここに至るまでには筆舌に尽くせない労力と手間がありました。
それはひとえに米軍基地の中という理由で、規律と安全と不便の束縛の中で時間をかけて進みました。
基地内作業許可のための身分証明は、本人の情報と履歴のみならず、親兄弟の情報まで必要となります。軍事基地だからごもっとも。
作業の手続きは請負業者が関係者全員のところに行って了解を取るようになってます。基地内で稟議してくれればいいものを。
さすがに基地様式書類の作成まではできないので、観測担当部内の会議に呼び出され、手順と方法を説明し書類ができました。
そこまではいいとして、その書類を施設担当、安全管理担当、交通担当、MP、基地消防署、環境担当などなどのジョーンズ少佐やらライアン中尉だの
署名や注意をもらいに持ち回るのがたいへんな苦労で、場所を聞きながら基地内を歩いて回り、行った先では要件を聞かれてやっと面会できるか、
今本人がいないから後でまた来てくれだの、この持ち回りだけで丸2日、よく歩きました。
にもかかわらず体重が落ちないのは、基地内のファーストフード街で、米国軍人が必要とするカロリー十分なランチを残さず食べたからでしょう。
お代はもちろん米ドル建て米ドル払い。
それはともかくこの手続きが終わり、汗と涙の署名満載の書類を提示して担当部内での確認・注意事項会議を経て、やっとゴーサイン。
面倒は設置作業中も当然続き、安全担当が毎日回ってきては、服装から始まり、吊り上げ金具や荷重のかかる金具やチェーンには「Made in China」
を使うなとかさんざん注意を喚起されました。
そのような指摘を受けたシャックルやチェーン・ロープ類は、基地外へ買いに出かけるか、基地内工廠で手続きして借り受けるかして調達しました。
それもまたチェックされる。
このような想定外番外編作業に、作業自体の労力と時間よりもずっと多くかかりました。
発注者の米国企業がこれまた厳格で、アンカーの引き抜き測定から写真の撮り方や提出方法など、事細かな要求がありました。
米国からはベテランのスーパーバイザーが派遣されたおかげで、こちらはいい技術勉強となりました。
米国は厳格な責任のために金も手間もかけます。いい社会勉強となりました。
基地内敷地
スタジアムやバレーボールコートの横の臨海パークのようなきれいな場所で、面倒な事前手続きのフラストレーションを忘れさせてくれます。
ジョギングの米兵が横をよく走っていきました。
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アンカー穴掘り
測量のあと、スーパーバイザーの指導のもと、強力でとてもきれいな穴が掘られました。
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芝生
敷地は地表面が芝生。アンカー穴も最後に元通りになるように、芝生を大切に切り取っておきます。
芝生を大切にするアメリカ。
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アンカー引き抜き試験
専門家に頼んで実施しました。アンカー全部。
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タワー連結
タワーはグアムの基地で使ったものを再利用。輸送中のダメージが心配でしたが杞憂に終わりました。
遠くで黄色の安全ベストを着ているのが、安全担当のおっかないおじさん。
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ウィンチとブライドルケーブル
ウィンチもグアムから持ってきたもの。
最初動かずたいへん慌てました。偶然にも底に付いてる電気の端子が緩んでいるのが見つかり、事なきを得ました。
チェーンやシャックルは非中国製。アンカー穴の芝生がきれいに養生されています。
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チルトアップ開始
タワーの連結とガイワイヤの配置が終わり、ヘルパージンポールがジンポールを揚げようとしています。
遠くで黄色の安全ベストを着ているのは、安全担当のおっかないおじさん。
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センサー取り付け
ジンポールでタワー本体を少し上げてセンサーの取り付け。
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航空障害灯
基地上空となるとヘリコプターが低空で飛びます。そのため航空障害灯が最先端に、識別ボールがガイワイヤに取り付けられました。
最初は赤白の塗装を施すことになっていましたが、たぶん費用がかさむため、これになりました。
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チルトアップ前の全景
バレーボールコートを横切ってタワー本体が寝ています。
左に見えるはバレーボールの見物ベンチ。
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街路灯
この街路灯にガイワイヤがかかるため、回り込んでかわしました。
街路灯の下に見える黄色の支柱はバレーボールコートのネットポスト。
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チルトアップ
きれいな青空を背景にきれいに上がって行きます。
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ガイワイヤへのテンション
スーパーバイザーがガイワイヤへの正しいテンションのかけ方を実演。さまになってます。
東京湾にはディンギーの練習が見えます。水平と斜めがきれいに交錯する図。
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完成
ガイワイヤのテンションを調整し、鉛筆のごとくまっすぐ。
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鉛直
きれいに立ちました。
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アンカーとMP
戦場で負傷すべき軍人が基地内で転んで負傷しないように、アンカー部分はうんと目立つようにしてあります。
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作業終了
基地内での遠景。左にスタジアム。
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観光案内
お世話になったスーパーバイザーを鶴岡八幡宮にご案内。
たくさんの制服修学旅行生が珍しいようでした。
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