エネルギーを捕える
風の潜在エネルギーは風速の3乗に比例します。
スピードの出ている自動車はスピードの2乗に比例するエネルギーを持っています。
それが連続して次から次に来るので、単位時間に通過するエネルギーは3乗に比例してきます。
上の棒グラフは風力発電に適した場所での典型的な風速の時間分布です。ワイブル分布という分布曲線によく乗ります。
この例では風速6m/s前後の風がよく吹き、風力発電には良好な風況といえます。一方、青の曲線は風速を3乗したエネルギーの分布です。
これを見てわかることは、例えば風速6m/sの風は時間的によく吹くが、運んでくるエネルギーは全体の4%にも満たないということです。
また、風速11m/sの風は時間的にめったに吹かないが、運んでくるエネルギーは全体の12%を占めるということです。
風速4〜5m/s以下の弱い風はよく吹いても、そしてそのエネルギーを全部回収しても、たかが知れているということがわかります。
風力発電を考えたり計画するとき、人間が実際に感じるよく吹く風より、たまにしか吹かないがそれより強い風が圧倒的に大量のエネルギーを
もたらすことを理解してください。
風力発電機の設計風速
風力発電機は風力エネルギーを回収するマシンですから、上のグラフの青の曲線のピークを最も効率よく狙うようにできています。
この例では風速11m/s付近です。風力発電機の仕様書を見るとこのあたりが定格風速とか設計風速となっています。
風力エネルギーは風速の3乗に比例するから、欲張って台風のようなスーパーエネルギーを回収したくなるのが普通の人間です。
台風や嵐のすさまじい威力に耐え、そのエネルギーを回収するマシンは隅々まで頑丈でなければならずコストがかかります。
その割に活躍する機会は年中来るものではなく、コストに見合う利益を回収することはこちら側(強風側)でもできません。
人間生活と同様、バランスが大事です。