風況観測トップ > 設置方法と事例 > 海外・バーレーン/50mタワー短期決戦

海外・バーレーン/50mタワー短期決戦

石油精製プラント敷地内での風況調査。安全面での規制が非常に厳しく、届出や許可取得に手間と時間がかかり、現場工程にしわ寄せが来ました。

もうこれ以上待てない、というぎりぎりのタイミングで着工し、いちいち指示を出さないと何もしない現地作業員にいちいち指示を飛ばし、 同時に進められる作業は、無駄を排除して極力自律式に並列進行させ、夜中までかかって、ほぼ丸1日で完了。

通常は、タワーの引き起こし作業が始まると、写真を撮る暇も余裕もなかなかなくなりますが、カメラマンがいたので工程全部の写真がよく撮れました。
中東でも冬ともなれば、風が出ると相当寒い。

フラット敷地

現地側が用意した敷地。初めてのことなので、ずいぶん立派に整地されていましたが、結果的に整地は不要でした。

アンカー設置開始

海のすぐそばの砂地というので、アンカー掛かりを心配していましたが、何のことはない、砂地は原地盤の表層数センチだけで、 硬い地盤でした。重機で穴を掘らないと、とてもアンカーを入れられない。

タワー組み立て

アンカー作業と同時進行でタワーを組み上げます。敷地が平らに整地されているので、非常にスムーズ。

タワーまっすぐ

きれいに一直線に組みあがり。

アンカー設置

アンカー根掛かりを補強し、埋め戻して締め固め。

支線配置

できたところのアンカーに、支線を延ばしてクリップ留め。

手掘り

タワーが立つころにできていればよい最後のアンカーは、変電所の近くなので埋設ケーブルに注意して、時間をかけて手掘りで穴掘り。

タワー立ち上げ作業と並行。

動作業スタート

まずジンポールを立てます。最初のところは人力。

ウィンチ巻き上げ

少し上げれば、ジンポールはウィンチで軽く立ちます。

ジンポールが立ったところで、続けてタワー本体を少しだけ起こし、センサー取り付けに入ります。

センサー艤装

主風向や方位に応じてセンサーを設置する向きを決め、慎重に取り付けます。

航空障害灯

バーレーン防衛軍の指導により航空障害灯を設置。

ケーブル配線

センサーからの信号ケーブルと、避雷針からの銅線を、耐候ビニールテープでタワーに沿って留め、地上付近まで誘導します。

準備完了

センサー艤装も終わり、最終点検してタワーの立ち上げ準備オーライ。

チルトアップ開始

少し上げては、チェックの繰り返し。

ガイワイヤ状態

上がっていくタワーの形状とガイワイヤの懸垂の様子を見ながら、ガイワイヤの張力を監視します。

このサイトはフラットだから、あまり張力調整の必要はありません。

30°

60°

鉛直間近

これぐらい立ってくると、ウィンチの負荷がなくなり、ジンポールの自重だけで起きようとします。 そうならないように、ウィンチと反対側のガイワイヤを人力で引っ張り、ゆっくり立つように努力します。

起立

ウィンチ反対側のガイワイヤが張り、タワーがだいたい鉛直に安定。

まだ全体的に傾いているし、曲がりも大きい。

リフティングワイヤ付け替え

ジンポールのリフティングワイヤを1本づつ、ジンポールから外し、最後のアンカーに付け替えます。

付け替え中は、ワイヤを引っ張る人力がタワーを支えていることになるので、外したワイヤも気持ちも緊張します。

整形開始

四方をガイワイヤで支えた、最終形が形成されました。

だいぶ曲がっています。

あとはガイワイヤの張力を調整して、まっすぐ鉛直に立つように調整するのみ。

だいぶ日が暮れています。

ガイワイヤ調整

1本1本、ワイヤを緩めたり締めたりの調整を繰り返し、タワーが鉛直になり、ワイヤの張力が均一になるまで作業が続きます。

意外と時間がかかる作業です。しかも夜になってあたりは暗く、タワーやワイヤがよく見えません。

計器装着

ガイワイヤ作業が終われば、精神的緊張作業は終わりです。 地上付近でデータロガーを支柱にくくりつけ、センサーからのケーブルなど接続します。

ロガーを設定して、終わり。風況観測の開始です。

青空

ぴかぴかのタワーとガイワイヤが、光り輝いて青空を突く姿を見るのはうれしいものです。

静寂の中、風速センサーがくるくる回っているのが気持ちよく見えます。

全景

あとはいい結果が出ることを祈るのみです。

風がお札を運んできてくれるように拝みましょう。

硬い握手

作業が無事に終わり、ねぎらいと感謝の握手。

次回ここを訪れるのはいつの日か。

風況観測